Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

デザイン業と雪かき業(行政的に)

 行政といっても市政(札幌市)の話。

 今の会社を設立する以前にやっていたデザイン会社で、札幌市競争入札参加資格者というのに登録していた(今は入札参加資格審査申請というのか)。基本的に市から発注される案件はこれに登録している業者でなければ受注できない(特命という例外はある)というルールで、これはどこの自治体でも同じだと思う。

 物品・役務を提供する企業には様々な業種が存在するので、提供するものにより分類というものが定められている。札幌市の場合、大分類>中分類>小分類とあり、デザイン業はその当時何に分類されていたかというと、「その他サービス業」というくくりであり、同じ仲間には「除雪業」とあった。こういう感じで↓。

■その他サービス業

  1. 除雪業
  2. デザイン業

 もう一個仲間がいた気がしたが、なんだったか忘れた。
 分類がなんであれ実際の受発注には全く影響はないのでいいっちゃいいんですが、何かしら飲み込みにくいドロッとしたものを飲み込んだような気持ち悪さが登録申請時ありました。

 今の会社を設立してから登録をすっかり失念していて、市から案件のオファーがあった時に、そういえば!となり、あわてて調べてみると現在は、

  • 一般サービス業>19.専門サービス業>(1) デザイン業

となっておりました。同じ仲間には(2) 翻訳業 、(3) 通訳業、通訳案内業 とあります。

 札幌市good job。常日頃デザイナーはユーザーへの通訳たれ、と説いている身としては、膝を打つ分類具合かと。難解で偏狭でバイアスかかった(失礼)シーズベース起業の企業からのメッセージを、わかりやすく一般的な言語に置き換えるのもデザイナーの仕事。そう意味ではこのくくりは正解。
相変わらず除雪業はすぐそばに迫っていますが。
札幌市の業種分類表(物品・役務)


 さてここからが本題。札幌市には「ITを一兆円産業に」という命題があり、現市長のマニフェストにも以下のようにあります。(言い出しっぺは違う方だし、前市長の時代から言われていたことですが)

ITやデジタルコンテンツなどの情報産業を、札幌市立大と連携させて育成し、十年後に一兆円産業にする

 かすかな記憶をたどると、当初はもっとシンプルに「ITで一兆円」という解釈が可能な話だったはずですが、いつの間にか「デジタルコンテンツ」と合わせ技になり、さらに市立大が登場。ちなみに札幌市立大学は「デザインと看護」を掲げる大学です。

 つまりこの「一兆円規模の産業」のなかにデザインも組み込まれている、というわけだ。穿った見方をすれば、ITだけでの達成が雲行き怪しくなってきたので、コンテンツもいれちゃてデザインも突っ込めば一兆円行くかも、という解釈ができなくもない。この「コンテンツ」の中には近年札幌で盛り上がっているショートムービー(つまり映画産業)も含まれている気もする。

 
 ITとデザインを結びつけて、というのはジンギスカンには生ビールとか、巻いてくるコーナーキックにヘッドで合わせるみたいな話なので、今更言明しなくともよいということかもしれないが、だからといって、IT業とデザイン業を同一視した施策を打ち出してくるのはどうなのだ、
と書いたところで、この施策を出してきたのは札幌市ではなく北海道経済局だったことに気づいた・・・。

 北の大地のデザイン業、危うし。


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