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札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

川端康成toみうらじゅん

長らく地下鉄通勤のお供は、川端康成の「古都」だった。円山のフードセンターの近くにある古本屋で100円で買った、「映画化決定!主演:山口百恵」の帯がついた本。

家の最寄りの駅から乗って、会社のある札幌駅まではたったの7分ほど。ホームでの待ち時間を入れてもせいぜい10分がいいとこなので、ほんの少ししか読み進めない。しかも面白キャラの人物と同じ車両に乗り合わせてしまったら、そっちを注視してしまうので本の内容など全く頭に入ってこない。

なので通読はあきらめて、毎日適当に開いた箇所のページを読む、というランダムシークな読み方をするわけです。が、この読み方に向かない本がありまして、たとえば後半のカタルシスに向けて徐々にクレッシェンドしていく話とか、スリルとサスペンスな展開の話とか、犯人は実はヤス、とかいうのは全然向かない。あんた昨日(読んだページ)は俺がやったって言ってたから、とかペーパーバックにつっこむのはあまりにも不毛かと。

「古都」はベスト5に入る好きな小説ですが、これが上記の読み方に大変合っていると思うわけです。話の筋ではなく、文章そのものを切り出して読んでみても味わい深いという希有な本(というか書き手)のような気がします。

花曇り、とか。
しかし蝶は知っている、とか。

もうキラーセンテンス盛りだくさん。日本語が水彩の絵の具のように使われている印象。短いながらも退屈な地下鉄時間を花曇りの京都のアトモスフィアにしてくれたりしてくれなかったり。どっちだ。


そんな密かな通勤のお供も、自転車通勤するようになってすっかりPodCast(しかもみうらじゅん)にお株を奪われている状況。これでいいのか?自分。


サマージャム'95 / スチャダラパー