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札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

札幌のWEBデザインを巡る動き

 昨日は偶然にも札幌のWEBデザインに関する重要な動きが2つ重なった一日でした。そのどちらにも関わっていたことから、意図せず2つの動きを結びつける役回りとなってしまった(しまった、というところがミソ)。

 ひとつはWEBデザインプロダクションが一同に(といっても数社だけど)が集まり、同じテーマのもとプレゼンテーションしあうというイベント。
 札幌市のクリエイター支援プロジェクトCROSSINGが主催して、一般企業とクリエイターを結びつけるビジネスマッチング交流会(通算何回目?)が、昨日、豊富町から豊富温泉の方々をお招きして行われました。WEBを作りたいのだけど、なにかアイデアはありませんか、という投げかけにクリエイターが応えるというのがざっくりした趣旨。

 運営側の立場だったので個々のプレゼンのできや感想などは差し控えますが、総評的に思ったことをいくつか。

 まずWEBデザイン会社のみなさんがプレゼン慣れしていないことが、ありありと、というか、まざまざと、というところ。
 10分という時間は圧倒的に短いので、本当に工夫しないと言いたいことが何も伝わらずに終わってしまいます。そういう意味で「慣れてなさ」が一番あらわれたのが導入の部分。いかにスムーズに本題に入れるかが問われるところですが、慣れていないせいか、中には10分しかない持ち時間の冒頭3分ほどを要領を得ない自己紹介に使ってしまっていた方も。(5秒で事足りるはず。)

 次に、お題目(今回の場合、温泉街のWEBサイト)が示されていることに対してのアプローチが大きく2つに分かれたことが特徴的でした。一方は、お題目に対してそれなりの事前調査を行い、テーマ自体にコミットしたプレゼンを展開したところ。もう一方は、あくまで自社の実績やスキルの説明に終始したところ。言うまでもないですが、前者の方が印象がいいわけです。この違いは実は普段やっている形が、クライントと直接対峙しているか、それとも間に代理店なりディレクションを行う会社が入っているかの違いだったりします。
 
 そしてこれが一番気になったことですが、今回の事案を「WEBの制作案件」ととらえたか、それとも「温泉街のプロモーション全体(の一部)」ととらえたか、です。大変失礼ながら、今回のクライアントはWEBはもとよりプロモーションやらマーケティングに関してはほぼ専門的知識のない方々です。WEBを作りたいと言っているから、はい作りましょうでいいのでしょうか。

 事前に現地に行ってみたらわかることですが、WEBを作る前にサービス自体を見直す必要があることは一目瞭然です。(これについては以前書きました。)
 そういったことをふまえた上で「WEBサイトの提案」がなされるべきで、残念ながらそういう視点での提案をされたのはお一方だけでした(この方はWEBの提案をあえてしなかった)。

 気になることが多かったとはいえ、中には(パーツのアイデアとして)面白い提案をしたところもありました。もう少しこういった機会を経験し、経験値があがればビジネスの規模も大きくなるのかも、と思いました。

(徹底的にはずした、まったく空気の読めない方が約一名。一同ky!と思ったはず。)


 この交流会に先立つこと2時間前、東京から来られた日本WEBデザイナー協会の事務局の方とお会いしていました。主にWEBデザインに関するスキルにお墨付きを与えよう(WEB検定)というのと、WEBデザインのアワード(WEBのアワードではなく)を行うのを目的とした団体で、東京、大阪、仙台に続いて札幌に支部を立ち上げたいとのことでした。

 情報交換として札幌のWEBデザイン周りの現状をお話ししましたが、デザイナー個々のスキルはともかく、ビジネスとしてのWEBデザインは相当に立ち後れているというのが確認できました。

 偶然CROSSINGのイベントと重なったのでそちらの会場にも顔を出していただいたのですが、本来地元のプロダクション間で横のつながりを作り、スキルの向上に共同で取り組むとか、大きな案件を戦略的に組んでやってみるとかいうのはとっくに自発的に行われているべきで、少なくともどこに何というWEB会社があるかぐらい、どこか(経済局?ITなんちゃら協会?)が情報を持っているべきなのでは、とおもった次第。


♪ Blue Moon Blue / Yukihiro Takahashi