Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

一発すごいwebサービスでGかMに買収される!

 一応起業家という属性の一団の中で最下層に近いところをうろうろしている身としては、起業のあり方についていろいろ思うところがあるわけです。自戒も込めてベンチャー的な姿勢の再確認を。

 ごく当たり前のことですが、スタートアップ企業がすべてベンチャーなわけではありません。ばっさり線を引くなら、リスクをとって未開の─少なくとも見渡す限りにおいて未開に見える─地平を目指すのか、それともカーナビのアナウンスとともに見知った札幌市西区新琴似を行くのか、といったところ。

 近しい創業者の知り合いは、総じて前職からのスピンアウトだったりのれん分けだったり、あるいは独立という名の謀反だったりがほとんどで、基本的にまったく同じ業種か、または近い系列の業種で起業しています。そういう方々と起業するリスクについて話が及ぶことがままあるわけですが、個人的にいつも違和感をもっていることがあって、それは、

  • 経済的に厳しいことと「リスクをとる」ことはイコールではない
  • 個人のリスクと企業のリスクは、これも別もの

ということです。

 企業の一社員として働いていて、そこから独立するかたちで起業したというケースでは、多くの場合収入が不安定になるのは当然のことであって、それを指して「ベンチャーだからリスクをとって勝負している」などという表現になるのは、ほんとどうかと思います。

 また、創業者個人としての経済的リスク(ようするに収入の減少、あるいは不安定化)は、直接には企業としての姿勢ないしは方向性とは全く関係ないわけで、キープコンセプトの手堅い商売をしていながら「リスク」発言をするのは、地下鉄に乗って冒険にでかける宣言のようなもの※かと。
※はたから見て恥ずかしい発言、の意。

 少なくとも起業時において、これまでにない新しい何か─新しい市場、新しい手法、新しい技術等々─なんらかの不確定な項目があって、それが取り得る最大の数値をとった場合、大きな(爆発的な)リターンとなるかも、というのがやはりベンチャーだと思うのです。
 
 今は、例えば「一発すごいwebサービスを立ち上げてGoogleとMicrosoftの買収天秤に乗るのを目指す!」とか発言することは、小学生の将来はJリーガー発言と同等と見なされているふいんき(あ、いけね)がありますが、何がいけないんでしょうか。別に風説の流布に当たるわけでもないですからどんどん言ってもいいと思います。だれかひとりぐらい勘違いしてエンジェルになってくれるかもしれません。

 リスクをとらずして何がベンチャーか。もう一度基本的なビジネスモデルを見直してみようかと思います。

♪ David / Akiko Yano