Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

デザイン会社は見学お断り

 とある中学校から、生徒にデザイン会社の見学をさせたいので伺ってもよいか、という内容のお電話を以前頂いたことがあります。デザイン会社なんて見に来ても、しかめっ面した中途半端な容姿の男女がモニタに対峙しつつ、ちょっと動いたり、かすかに動いたり、そこはかとなく動いたりしてるだけなので、何も面白くないんじゃないかと思いつつ受け答えしていましたが、電話口の先生と、これがどうにも話がかみ合わない。

 しばらく話をしていて、どうやらこの先生は弊社を服飾のデザインをしている会社だと思い違いしているご様子。絵を描いているところ、とか、モデルは〜、とか、切ったり縫ったり、とかいう言葉がちらほらと出てくる。

 なので、いえ弊社は主にスタートアップ企業や地場の中小企業へのデザイン導入を支援するデザインマネジメント会社ですよ、などと多少意地悪に答えてみたものの、あまり納得する感じもなく食い下がってくる。割に忙しかったので多少強引にお断りしてしまいました。

 が、電話を切ってからふと思いついたことが。
 もしやこの中学校の先生、「デザイナー=服をデザインする人」と認識されているのでは??。つまり、デザインとはすべからく服飾のデザインのことで、デザイナーとはみんなコシノヒロコとかドン小西みたいな人で、なのでこのイエローページに載っている株式会社ノイエカとかいう会社も切ったり縫ったりモデルが闊歩していたりするはず。と考えると、辻褄があう。

 んー。デザインという仕事に対する世間の認知度はそんなものなのか、それとも地方都市の中学校にお勤めの方は世間とちょっと位相がズレ気味なのか。どちらにせよ、将来デザイナーになってランボルギーニよりもっといかす車をデザインしてやる、とか、ミースファンデルローエを再構築して21世紀のバウハウスを定義しちゃる、とか、佐藤卓のデザインは俺にはギモンだらけだぜ、みたいなborn to designな子供は出てきにくい状況ではあるかと思います。

 日本の自動車やオーディオ機器やビルディングの多くが醜悪なデザインである原因の一端をちらっと感じた瞬間でした。

※ちなみに弊社は、NDAやらPマーク的意味で見学は不可です。あしからず。見てもそれほど面白くないですし。

♪ AM I THE SAME GIRL / Dusty Springfield