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Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

SOHO君の超えられない壁

できますか?に込められた意味 というエントリーを先日アップしましたが、ふと思い出したエピソードが。

 とあるweb案件で、小規模ですが開発が必要な部分がありました。普段は自社で開発も行ってしまうところですが、たまには旧知の仲であるA君(SE)のSOHO会社に発注してみようかと思い立ちました。
 さっそくクライアントの要望とざっくりした仕様をメールし、まずはだいたいの納期と見積をお願いしました。詳細な仕様決定や見積は後日きちんとするとして、おおよその予算をクライアントに確保してもらうためのたたきとするつもりだったのですが、A君からの返事は「詳しいことがわからないと見積もれない」とのこと。
 まぁそれもそうだと思い直し、ある程度要件定義を行い、仕様も少し詰めて再度見積を依頼しました。ところがA君からの返事は、「使用言語や実装方法を指定してくれないと見積もれない」とのこと。そこで、腑に落ちない思いを抱えつつもPHPを使ってうんぬんという条件を提示しました。今度の返事は「自分はPHPは専門じゃないので、PHPでの開発自体はできるけど見積りは作れない」。

 だったら得意な言語でいいので、10万なのか、100万なのか、1000万なのか提示してくれと返事したところ、「JAVAが専門だけど、この案件の開発にJAVAは適さないと思う」と宣う。ここまでやりとりして馬鹿馬鹿しくなったので発注は取りやめ、自社で開発することにしました。


 結論からいうと、彼は以前勤めていた会社を辞めるべきではなかったと思います。上記の彼の返事は確かに正しいことを言ってはいますが、フリーで(あるいはSOHOとしても)やっていくのに必要不可欠なある能力が決定的に不足していると思うのです。(その後いつの間にかA君は廃業したとのこと。)

 しかし彼のような傾向をもったフリー○○○er(デザイナー、プログラマー、イラストレーター等々)が割と見受けられます。SOHOという形態を否定するわけではありませんが、会社法が改正になり、法人として起業するハードルがこんなにも低くなっている─株式会社でさえ─にもかかわらずそれをしないという選択を、個人的には前向きなものと受け取ることができません(あくまでごく限られた経験に基づく個人的な感想ですが)。以前にも書きましたが(そのデザインおいくらですか?)、少なくとも自分が提供する役務/製品の対価や納期を(たとえそこに仕様変更というリスクがあったとしても)提示することができないのなら、ビジネスなどやるべきではない、と強く思います。


♪ North Marine Drive / Ben Watt