Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

違和感

 昨年ほどから考えを改め、積極的に同じ地域のWEB事業者と交流を持つようにしています。主にいわゆるプロダクションに所属するデザイナー・エンジニアの方々、フリーの方々が多いかと思いますが、あまりマネジメント層の方とはお会いする機会が少ない傾向があります。WEB系のイベントやマッチングの場などに顔を出していますが(どっちかと言えば運営側であることが多いですが)、思いの外、現場の技術系の方が多い印象があります。

 単純に、WEB系のイベント・セミナーといわれるものの多くが技術サイドに寄ったテーマであることが多いからと思いますが(でなければSEMを主とした販促系)、このことになんとなく違和感を感じています。現実としてスポンサーをつけて運営することが多いと思われるので、スポンサーが提供する製品・サービスに寄ったテーマとなることは理解できますが、そうではない、自主的・自発的に行われるものであっても、やはりスキル系の話をテーマに据えたものが多い印象です。○○を活用した最新事例を紹介、といったコマが人気なのは地域的な特徴であると思います。

 違和感というのは、簡単にいえば、なぜそんなことばっかりやってるのか、という点につきます。

 いくつかのエントリーで触れていますが、昔は広告や狭義のデザインという枠組みに置かれていたクリエイティビティが、現在は直接ビジネスモデルという形で発露されるものとなっています。ようは、昔は「あのCMはクール」と表現されていたものが、今は例えば「セカイカメラはクール」と表現され、正しい意味でのクリエイターは広告ではなくスタートアップを創っていると思います。個人的には深沢直人や佐藤卓よりははてなの中の人やニワンゴの中の人(エンジニア)のほうをクリエイターと呼びたい気がします。

 それはやはり、ばっさりと中間を排してサービスインできるネットの特性と、繰り返し行われるインフラ(主にビジネスのプラットフォームという意味で)のリノベーションが理由として大きいと思います。「WEB」ではちょっとしたアイデアでも大きなビジネスチャンスがある、というのははるか昔の心温まる伝承ですが、「WEB」という部分の言葉が随時更新されて行くので(i-modeだったりwidget/ブログパーツだったり。直近はAppStore系の話かな)、次々新規参入組が活躍できるステージがやってくるわけです。新しいステージは往々にしてルールが緩いものですから、比較的思い通りにクリエイティビティを発揮しやすいし、当然「創りたい人たち」が集積します。

 語弊はありますが、末端のデザイナーやエンジニアもそういったチャンスは等しく手にしているはずです。自戒を含めて述べますが、受託仕事で泥沼化した現状を自虐的に自慢するぐらいなら、なにか自分自身でできないか模索(考えるだけであっても)するほうがよっぽど健全である気がします。

 最初の話に戻りますが、どんなサービスがあったらうけるか・面白いか、まだだれもやってないことは何か、ということを論じるのがとても大事な気がしていますが、そういう場が(飲み会は別として)ほとんどなく、たぶん受託仕事の効率を上げるために使われるであろうツールやスキルの話ばかりしてるのは、あまりに前時代的だと思われます。違和感というのはそういう意味です。


 もちろん今後なにを始めようとしているのか、どっちを指向しているのかといった情報は極力クローズドにしておきたいものですが、自らサービスを立ち上げたい、プレイヤーとして大きいフィールドで動いてみたいという思考を持つ人・企業で、横の結びつきを持つとしたらどのようなものが考えられるか、ということが今一番興味のあることです。
 そこまで至っていないとしても、少なくともこのまま今の業務を続けても先が見えてるので何か手を打ちたい、という方・企業は多いのではないかと推測します。そういうステージでも有効な横との繋がり方というものも何かあり得るのではないかと思います。

♪ Love Me After 12AM / m-flo loves Alex