Butterfly only knows.

札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

デザインの値段・再び

 家電などを思い浮かべていただければいいかと思いますが、大抵の製品には「性能」というファクターがあり、多くの場合それは数値で表すことができます。世の中にはそれら性能を表す信じられないくらいたくさんの種類のパラメーターがあり、単位があって、もしその数値のいわんとするところを理解できる知識があるなら、おおよそのその製品の「価値」を判断することができます。

 性能と価値の関係がスリリングな最たる例の一つとしてパーソナルコンピューターがあげられるかと思いますが、例えば今この文章を作成しているMacBookの性能は、

という主立ったパーツとそのスペックによって表すことができ、そこからおおよその価格を思い浮かべることも可能です(ちなみに某Do○で税込10万円ちょうどにまけてもらって買いました)。

 おおざっぱに言って、価格はその製品の性能に比例し、より優れた製品は価格が高く、限られた性能の製品は相対的に安いと定義できます。容量450リットルの6ドア冷蔵庫は、225リットルで2ドアのものよりも価格は高いのです。そしてその事実に異議を挟む消費者はそれほどいないはずです。つまり性能と価格の比例関係は多くの消費者にとって納得しやすい事象なのだと思われます。

 さて本題。(狭義の)デザインにおいて、性能と価格の関係はどのように考えられるでしょうか。

 数年前ですが、札幌市の某区役所から環境保全に関しての啓発ポスターの依頼があり、デザイン費の見積を作成しました。競争入札でしたので数社の見積額が開示されたのですが(参加各社が揃っているその場で。あれはなんだか緊張する。)、驚いたことに最安値と最高値では実に約3倍もの差がありました。

 とある面積の平面に展開される文字や写真などの配置(物質的にはインク)によって、実に3倍の価格の差があるという事実。考えてみれば非常に不思議な事象です。価格が3倍だからといって、文章量が3倍あるとか、インクの盛り具合が3倍だとかいう世界ではありません。

 上記の例は道徳的観点の啓発ポスターですので、もし性能というファクターを考えるなら「啓発力」というパラメーター─数値は何でしょう。3.25kg/m?950ヘクトパスカル?46hsh/d(はっとした人/日)?─が考えられるでしょう。いいかえれば、そのデザインによっていかに多くの人の目を惹けるか、いかに多くの人の心を動かせるかが、そのデザインの性能といえます。デザインの性能は、家電や自動車などと違い、制作時に決定されるのではなく、使用されて初めて測定できるもののようです。

 故に、デザイン費は常に対象とするユーザーによって暗に決定されるべきで、ロイヤリティ(成功報酬)という形態がよくマッチするのだと思います。また、デザインが及ぼすビジネス上の効果を仮定することなく算出するデザイン費は、根拠のないナンセンスな数字であることがわかります。
 ページ単価○○円や、デザイン案一個につき○○円といった数量ベースのデザイン費を、ここに否定します。

 より心を動かすことができるデザインがよいデザインであり、"高価"なデザインである、という考え方が基本になるのだと思います。

♪ Jet Airliner / Steve Miller Band

macにインストールしているアプリケーション

 今現在(2007年12月)会社ではMacBook Proの15インチモデル、家ではMacBookの白を使用していて、環境をほぼ同じに揃えています。原則的にどこでも仕事はできるように、データストレージはネット上においています。osxはJaguar(10.2)から業務に使い始め、割合に長くG5+iBookG4という組み合わせを続けていましたが今年初めに上記のペアに切り替えました。

 さて、macで使っているアプリケーションですが、今のところ以下の通りです。

SafariFirefox

Safariはいつの間にか3にアップしていました。メインのブラウジングはSafariですが、開発時には便利なプラグインがあるFirefoxを使用します。Youtubeやニコ動ももっぱらFirefoxです。

Mail & ThunderBird

メールクライアントは純正のMailを使用しています。過去4年分のアーカイブがそのままなので、本文の内容まで検索対象となる強力な検索機能が重宝しています。迷惑メールフィルターはいっこうに賢くなりませんが。いくつかのアカウントはThunderBirdに割り当てて使っています。

RBrowser

FTPクライアントです。時々ディレクトリツリーの取得に失敗(Homeアイコンをクリックしていったんhomeに戻れば大丈夫)したりしますが、それ以外はおおむね便利に使えています。サーバ上のファイルを直接ダブルクリックで開く─編集─保存することができる機能はなかなか便利です。SFTPにも対応しています。

MAMP

Mac+Apache+MySQL+PHPという環境がクリック一発で立ち上がります。ローカルで開発環境が完結できる、必須アプリケーションです。近頃はこれにcakePHPを突っ込んでいます。

Eclipse

主にPHPでの開発に使っています。データベースのスキーマをデザインできるプラグインが便利です。MVCのビューの部分だけはDreamweaverを使っています。

Photoshop & Illustlator

デザイン会社的には紙と鉛筆みたいなものです。家のMacにはインストールしていません。Photoshopの出番はめっきり少なく、最近はSnipshotで充分だったりします。

Lightroom

そのかわり、写真の整理とRawデータの処理に大活躍なのがAdobeLightroomです。最近は1ロールあたり100枚以上撮ってしまうので、これがないとやってられません。

Parallels Desktop for Mac

Bootcampでもいいのですが、ちょっとWindowsのIEで確認とか、Mac非対応(けっ!)のネットバンキングとかには圧倒的にこっちの方が便利です。それほど重い処理をしなければ充分かと。XP SP2とVistaを入れてあり、確認用のほか、弥生会計や弥生給与も仮想環境下で使っています。コヒーレンスモードで使うとまるでosx下でWindowsアプリが動いているように見えるのが、なかなか強力です。

TwitterPod

TwitterのMac用クライアント。ログ検索できます。が、書き込み時よく落ちます。

http://www.adiumx.com/:Title=Adium

社内連絡用はGoogle Talkですが、クライアントはAdiumを使用しています。

http://www.isquint.org/:Title=iSquint

iPod用に.mp4動画に変換してくれるソフト。

ImageWell

画像の簡易な編集が出来るソフト。キャプチャー画像をウェブ用にする時などに重宝。下記のScreenshot Plusと組み合わせて使います。

iWork

特にKeynoteは、クールなプレゼン資料があっさりできるのでよく使用します。一応PowerPoint形式でも書き出せます。NumberもExcelより圧倒的に使いやすいです。

ATOK

5分使ったらもうことえりには戻れない。たしかATOK8の頃から使っています。唯一毎回バージョンアップにつきあっているのはATOK(とosx)ぐらいです。

Screenshot Plus

画面キャプチャー用のWidgetです。直接ImageWellに書き出せたりします。

iStat nano

CPUやHDの状態を表示してくれるWidget。なんとなくnanoにしてます。

その他

純正のTerminalやネットワークユーティリティはよく使うのでドッグ常駐です。それからスティッキーズは必須。VLCとQuickTimeProも必須。ブログなどの執筆ものはテキストエディットで充分です。

♪北京ダック / 口ロロ

試行錯誤、来年も継続

 28日は会社の忘年会でした。油断すると社員数の2倍ぐらいのメンバーになったりしますが(関係各社やクリエイターのみなさん)、今年はしっかり自社のスタッフだけで行いました。ちなみにお店は「むらかみ」でかにしゃぶ→「風味や」でシングルモルト+漬け物という渋い流れ。風味やはスタッフの方のブログが人気ですが、この日もそつのない接客をなさってました。

 さて、経営者としての一年をざっくり振り返ってみます。経営者として、今年のテーマは「仕組み作り」でした。当初思っていたのは1クライアント1担当者(責任者)という体制で、進行管理はもちろん、予算配分も含めた売上管理まで1担当者が責任をもって行うという仕組みでした。メリットとしては、自分のクライアントという意識が持てること、情報が集約することで素早い判断ができて進行が早まること、競争意識が持てること、という想定でいましたが、これは半年程度の試行であまり機能しないことがわかりました。

 まずクライアントのアサインがうまくいかなかったことがあげられます。内容や性向を鑑みて割り振ったつもりではいましたが、結果的にミスマッチがあったと思います。ただ、あくまで結果の話なのでこれは経験値として次に活かせることになると思います。

 それから、スタッフに自分のクライアントであるという意識を持たせることができなかったことが、経営者としての失敗だったと思われます。一般論的に、何かひとかたまりの仕事を丸ごと人に頼む時、頼む立場の人間は最大値の結果を求め(「やってくれるだろう」)、頼まれる立場の人間は最小値の労力を望む(「やらなくていいだろう」)ようです。
 これを全く想定していなかったので、いたるところで問題が発生しました。当然やってくれているだろうと思っていること(例えばスケジュールの管理だったり、返事がないクライアントへの催促だったり、そもそもの案件そのもの!だったりetc)を、全く手をつけていないことが、これまた最悪にも、クライアントからのクレームで判明したこともありました。
 結局のところ、案件を任された方としては押しつけられた程度の認識しかなく、最小限の仕事(もしくは全く何も)でうやむやにしようとしてしまいがちなようで、期待値と結果の乖離があまりに大きく、まったくのやり直しになったケースもあり、これは本当に失敗だったと思います。
 進行管理も含めて任せていましたが、進行管理をしているかどうかの進行管理をすることが、経営者として求められていたと思います。

 次に試みたのは、クライアントとの接点を一元化し、全ての案件の進捗管理も行ってしまうという仕組み。メリットとしては、当然全体として効率がよくなることと、作業スタッフであっても横断的に全社の案件が把握できることがあげられます。
 ただこの方式にも問題があって、まずこの業務を担当する個人の能力に負うところが大きくなってしまうということ。些細なトラフィックもディレクター経由になることで時間を要すること。そして何より、デザイナーが直接コミュニケーションしないことで、確度の高いデザインが出来ない可能性があるということ。
 この仕組みに変えてまだ数ヶ月という段階なので、最終的な判断は保留としますが、工夫の余地はあると思われます。
 何より、1プレーヤーから専業経営者になることを決めて日が浅いので、まだまだ考えるべき事、決めるべき事が多い状況です。当然日々の案件をこなしつつ、よりよい形になるよう検証と修正を繰り返さなければいけないので、まだ試行錯誤の期間は続くと思います。


♪ To Zion / Lauryn Hill