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札幌のデザインマネジメント会社社長のブログです。

川端康成『古都』より

見積作成料7500円

 だいたいこの時期(12月)は各企業や行政機関が年度内の予算消化を目論む時期で、年度当初の渋さはどこ吹く風で次々に見積もり依頼がやってくる。TODOベースでいうと約3割は見積書作成の日々。見積書作成費というのを請求したいぐらいだ。
 少し盛りすぎたかな?というものに対しても、仕様追加でさらに増額というケースもあるぐらいで、もしこれが全て成立したら絶対にこなしきれいないのは間違いない(幸いにもそんな事態は訪れないのだが)。

 一案件の全ての行程のうち、実は一番難しいのが見積もるという作業ではないかと思っている。まず必要な作業項目がもれなく列挙できるかということと、作業量に応じた各種リソースを的確に割り振れるかどうか。さらに瑕疵に対する保険やリスクの取り幅、そして当然利益のオンは適切に行わなければならない。クライアントとの関係状態によっては「大人の事情」係数が掛けられることもある。

 ここでよくやってしまう失敗は、例えば200万円の案件に対して、10%ぐらいの値引きでできるならそうしようか、お世話になってるし、という失敗。当たり前だが零細デザイン会社にとって20万円は小さい額ではない。20万円の案件をタダでやってくれと言われたら絶対にやらない(むしろ激怒)一方で、20万円の値引きはまぁいっかでやってしまうのだ。

 以前大阪のプロダクションと大規模商業施設(いや、ステラプレイスのことですが)の仕事をしたときのこと。インフォメーションサインのプランニングをこちらで進めていて、途中追加で建築図面が必要になったので、その大阪の会社に頼みデータを送ってもらった。その後無事案件が終わり、かかったフィーを請求したのだが、なんとこちらの請求額から「データ支給費 50円」が差し引かれて支払われたのだった。これには驚いた。その会社で取り仕切っていたプロジェクトは数億円に及んでいたはず。にもかかわらず、しっかり50円を回収してくるとは。

 大人の事情も大事だが、しっかり利益を確保して企業としての体力を保つことはとても大切だ。次に見積書を作成するときは、「見積書郵送料80円」を項目として盛り込んでおこうかと思う。


♪ Another Bridge / Everything But The Girl